—古代文明から貴族たちのメイクの歴史
メイクアップの美の追求は、現代だけのものではありませんでした。古代文明では、美は神からの贈り物として、影響力と権力をもたらしました。古代ギリシャ人ほど外見にこだわった人々はいません。古代ギリシャ文明は、人間の究極の姿に対する崇拝がすべての中心で、完璧な肉体を求める執念は女性より男性の方が強くありました。

01.古代エジプト
そのためには死をも覚悟したほどです。上流階級は一時期、有毒な鉛でできた顔料を塗って顔を白くペイントしていましたし、死ぬほど脱毛を望む人々は、脱毛剤として石黄というヒ素の硫化鉱物を使って文字どおり死んでいきました。今あるメイクアップやスキンケアの美容法のほとんどは古代エジプトで生まれたものばかりです。

02.紀元前1万年のメイク
紀元前1万年にはすでに、男性も女性もかぐわしい香油を体にふりまき、容姿を引き立たせる顔料や色粉を使っていました、唇と頬を赤く塗り、手足をヘンナで赤茶に染めて、胸には輝くような金色の染料を施しました。目のフチを黒く隅取るアイメイクは、もとはクレオパトラのトレードマークでした。

03.メイクアップ産業の発展
美容産業は人類の誕生と時期を同じくして生まれました。ファラオの時代には、すでにれっきとした化粧産業が発展していました。化粧品の製造者は、掘り出された顔料の塊を手に入れ、シュウ ウエムラ顔負けのパレットに詰めて売っていました。顔には黄色とオレンジがかった黄土色が、目元には緑のアイシャドウが好まれました。

04.メイクは上流階級の特権だった
そしてパウダーやペースト類は筒やツボに入れて売られ、女性たちは現代と同じように新製品を試そうと化粧品売り場に群がりました。いつの世でも美しくなるにはお金がかかります。ナッツやアーモンドオイルを使ったスキンローション、牛の血のべっこうで作られたヘアカラー、磨いた金属で作られた鏡。これらは非常に高価でした。

05.美しさは周囲への誇示
そのため化粧は裕福な上流階級や貴族の特権、そして周囲への誇示となっていました。ダチョウの卵から作られたフェイスクリームや、ワニの体液から抽出したパック、希少価値の高いシワ取りクリームを使えるのは、ほんの一握りの人々でした。彼らが気に入って、死後も墓の中へ持っていったのも不思議ではありません。

06.各大陸のメイク
このような楽しみは1つの大陸に限られたものではないのです。魅力を増すための化粧道具にかけては、アッシリア人もエジプト人に負けていません。カール用のコテ、金属製のマニキュア用細棒、軽石はペルシアでもバビロニアでも多く出回ってました。さらにどの時代も男女ともに異性を惹きつけて力を得るためだけではないのです。

07.貴族たちの白い肌
健康を犠牲にしてまでも化粧で容姿をよくしていました。たとえばエリザベス1世の取り巻きたちは、顔を白くするのにフッ素を使いました。色白は外に出る必要がない富裕層である証拠で、日焼けは外で働いている証拠だったのです。また遠いアフリカでは子孫の繁栄を願い、神に向けての印として顔と体に彩色を施していました。